2018.11.20
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採用・育成

ローカルスタッフが育たないのは実は本社に問題がある場合も

(写真=Syda Productions/Shutterstock.com)
(写真=Syda Productions/Shutterstock.com)
海外に拠点を持つ企業の中には、ローカルスタッフが育たないという悩みを持つ経営陣もいるのではないでしょうか。中でも人材や育成について問題を抱えている企業は少なくなく、その要因もさまざまです。今回は、海外拠点ではなく、日本本社の問題をあげて、ローカルスタッフが育たない3つの問題を紹介します。

問題1:日本人駐在員のスキル・経験不足によって進まない人材育成

海外拠点で業務を行う際には、コミュニケーションスキルや業務遂行能力以外にも、ローカルスタッフの指導・育成を求められる場合もあります。そのため、異文化への理解はもちろんのこと、多様な価値観の人たちと一緒に働く、あるいはマネージメントする経験も求められます。

例えば、TOEICの点数が良くても、スキルやマネージメント経験が十分でない人材を派遣すれば、ローカルスタッフの指導・育成どころか、できない上司を部下が見限って離職するおそれも否めません。

それに現地での様子は日本本社からは見えにくいため、こういった問題が放置されたままになっている場合もあります。問題の本質に気づかないまま「現地のスタッフはすぐに辞める」と本社側が思い違いをしていると、いつまでたってもローカルスタッフの指導・育成が進まない状況が続くのです。

問題2:本社側の言語スキル不足による人材の維持・獲得機会の損失

ローカルスタッフが管理職に昇進すると、日本本社の役員や担当者と対話する機会があります。その際に、日本本社側の担当者が日本語しか話せない場合には、ローカルスタッフとダイレクトな会話ができません。その結果、日本人駐在員と日本語で連絡することになるのです。これでは、ローカルスタッフは意思決定の場に参加する機会を与えられないことになり、管理職としてのスキルアップは望めないでしょう。

こういった問題を解決するために、日本語が話せるローカルスタッフをマネージャー候補として募集すればいいと思われがちですが、それには他の問題も出てきます。それは「日本語が話せる」ことより、「英語が話せる」ことを条件にしたほうが、多くの優秀な人材を採用できるという問題です。

より良い人材を確保したいと思うのであれば、「日本語が話せる」ことを条件にしてパイを小さくするのは賢明ではありません。本社側でもローカルスタッフとダイレクトにコミュニケーションを取れるように、英語が話せる人材を登用することが大切です。結果として、海外拠点でスピード感ある対応や意思決定が可能になり、優秀な社員の離脱防止にもつながるはずです。

問題3:現地法人トップの短い任期により中長期的な人材育成が困難

日本の駐在員が現地法人のトップに就任しても、短期間でトップが交代することもあります。トップが変われば経営方針や人事評価が変わり、その都度ローカルスタッフは順応しなければなりません。臨機応変に対応することは大事ですが、トップが変わり経営方針が変われば「会社に合わない」と感じ、離脱するローカルスタッフが現れ、中長期的な育成ができなくなるおそれもあります。

そうならないためにも、トップの任期や幹部人事のコントロール、ローカル人材のトップへの昇進や人事の権限委譲など、健全で安定した人材育成の環境を構築する必要があるのです。

ローカルスタッフが育たないのは本社の決定に問題が

このように海外拠点が抱える問題のいくつかは、日本本社の決定に原因があるのです。そのためには、社員を海外拠点に派遣する前に、異文化の環境下で経験を積ませるなどの育成も大切です。また、海外での判断スピードで遅れを取らないよう、海外拠点とのダイレクトコミュニケーションができる人材を本社に置くことも一案です。それに加えて、中長期の人材育成のためにも、ローカル人材を拠点のトップにし、権限移譲の準備を進めることも大切でしょう。

海外拠点の問題は役員に伝えることが大事

海外拠点からの支援要請があった時には、本社担当者が役員に対して海外拠点の声を上げ続けることは大事です。海外拠点の問題は本社にあるということを理解し改善できるのであれば、海外拠点のさらなる発展につながっていくのです。
 

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