2019.3.27
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採用・育成

シンガポールでの人材採用で気を付けたい4つのポイント

(写真=Boule/Shutterstock.com)
(写真=Boule/Shutterstock.com)
多くのグローバル企業が進出しているシンガポールでは、2019年4月1日から改正雇用法が施行されます。グローバル企業は改正内容を意識した上でローカルスタッフの採用を行う必要があります。今回は、雇用法の改正によって、企業が人材採用で気を付けるべきポイントについてご紹介します。

改正雇用法について

シンガポールには労働法の一つとして雇用法(Employment Act)が存在します。現行法では日本と違い、労働者全員に対して適用されるのではなく、職種および月給により雇用法の適用対象範囲が限定されていることが特徴です。

雇用法は職種によって3つの分類に分けて考え、さらに月収によって雇用法の適用範囲が変わります。

ワークマン(単純労働者)……肉体労働者や単純作業を伴う労働者
ノン・ワークマン(一般労働者)……管理職・専門職・単純労働者以外の労働者
PME(Professional, Managers, and Executives:管理職・専門職)……専門職者、マネージャー、エグゼクティブ

シンガポールの労働法は日本と比較して労働者よりも雇用者の側に有利な制度であると言われてきました。しかし、近年は労働者の保護を図るため、労働法を改正する動きがあり、今回もその一つとして雇用法が改正されます。雇用法の主な改正ポイントは、以下の4点となります。

ポイント1:雇用法における保護基準の撤廃

現行の雇用法では賃金が月収4,500シンガポールドル(約36万5,000円、1シンガポールドル=約81円で計算)を超えるPMEは適用対象外とされていましたが、今回の改正によって同基準が撤廃され、高所得のPMEも保護の対象となりました。ただし、公務員・海員・家事労働従事者など、別の法律で保護されている職種については適用されません。

ポイント2:有給休暇・傷病休暇などの権利保障の拡大

上記の通り、保護基準が拡大したことで月収4,500シンガポールドルのPMEにも有給休暇(年次7日以上の有給休暇、祝日の有給扱い、疾病休暇など)や、不当解雇に対する補償などの権利が新たに付与されることになります。

ポイント3:超過勤務手当の引き上げ

休日・労働時間などの規定に関する雇用法第4章の規定では、現行ノン・ワークマンで賃金が月収2,500 シンガポールドル以下の者に適用されていますが、今回の雇用法改正によって基準が引き上げられ、月収2,600シンガポールドル以下の労働者にも適用されることとなります。これによって、新たに10万人ほどのノン・ワークマンに対して超過勤務手当を得られる権利が付与されることになります。

ポイント4:紛争解決機関の一本化

現行法では、雇用者と従業員間の紛争解決手段は、内容によって2つの管轄に分かれています。不当解雇については人材開発省(Ministry of Manpower:MOM)、給与未払いなどについては雇用訴訟裁判所(Employment Claims Tribunals:ECT)に不服申し立てを行う必要があります。今回の改正によって、紛争解決手段が一本化され、全てECTの管轄になります。

既存従業員の基準見直しも

今後は、新たな人材獲得時に改正雇用法の内容を意識する必要があります。採用時だけではなく、既存従業員に対しても現在の基準が改正雇用法の基準を満たしているか見直しも必要となります。

雇用法は基本的に国籍を問わないため、シンガポール国籍を持っていない労働者や日本から派遣された日本人スタッフも対象となります。シンガポールで働く全てのスタッフに対して基準の見直しと、それによる全体のコストや人材の配置、求める人材像の検討などが重要になります。

今回の改正雇用法だけでなく、労働者保護を目的とした改正が近年増えているため、シンガポールにある拠点だけでなく、日本の本社側でも常に現地の動きを把握することが必要となるでしょう。
 

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