2018.9.27
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人事評価

先進企業がこぞって導入している「ノーレイティング」とは?

(写真=Africa Studio/Shutterstock.com)
(写真=Africa Studio/Shutterstock.com)
海外の有名企業を中心に「ノーレイティング」と呼ばれる人事評価の手法を採用している企業が増えてきました。ノーレイティングは、「S」「A」「B」といった数値で社員をランク付けしない新たな人事評価制度のことです。今回はノーレイティングのメリットやデメリットを解説します。

従来の「評価-給与連動型」が行き詰まっている理由

社員のカテゴリー化やランク付けによる人事評価制度は「レイティング」と呼ばれます。レイティングはカテゴリーやランクに基づいて給与を決める「評価-給与連動型」の評価の仕組みのことです。しかし、これには2つの問題点があります。

● 社員のパフォーマンス低下を招く
アル・ゴア副大統領のスピーチライターを務めたダニエル・ピンクの著書『モチベーション3.0』では、「評価-給与連動型」の評価は管理される側を視野狭窄に陥らせ、むしろパフォーマンスを下げると書かれています。例えるならば、目の前にニンジンをぶら下げられた馬がニンジンしか見ずに突進するのと同じ状態になるのです。

● 外部環境への適応力が弱い
「評価-給与連動型」では管理する側(ニンジンをぶら下げる人間)が、管理する方向を間違えると組織全体が間違った方向に突進するおそれがあります。めまぐるしく状況が変化するグローバル時代において1人1人の対応の幅が広範囲にわたる中、部下全員の動向にまで目を配れないおそれもあり、たとえ評価の仕方が実際の状況とずれていても、ずれに気づきにくくなるのです。

ノーレイティングのメリットとデメリット

そういう状況において「評価-給与連動型」の問題点を解決すると期待さているのがノーレイティングです。上述したとおり、海外の有名企業ではノーレイティングを導入している企業が増えていますが、それにはメリットとデメリットがあります。それぞれについて確認しましょう。

● ノーレイティングのメリット
ノーレイティングでは上司と部下が日常的に1対1でミーティングを行い、そこから目標設定や日々の業務のフィードバックや問題改善を行います。これにより給与のような外発的動機付けではなく、社員本人の中からモチベーションを引き出す内発的動機付けができ、パフォーマンスアップが実現します。

また、上司が日常的なミーティングの中でリアルタイムに部下の評価を変動できるのもメリットのひとつです。これにより外部環境の変化にも柔軟に対応でき、状況に適応した優秀な人材の確保や再発見が可能になります。

評価を受ける社員にとっても自分の業績に対してリアルタイムに評価が変化するため、評価に対する納得感がありますし、納得感があればモチベーションやパフォーマンスのアップにもつながります。

● ノーレイティングのデメリット
しかし、一方でノーレイティングをする上では、管理職の負担増は否めません。それは、評価をする立場にある上司は部下との密接なコミュニケーションを何度も繰り返しながら、状況に応じた目標設定やフィードバック、アドバイスを求められるからです。時間も手間もかかるうえ、精神的な負担の大きさが否めません。

プレイングマネージャーの負担をどう減らすか?

それではプレイングマネージャーの負担をどのようにして減らすのがよいのでしょうか。その解決策としてはプレイングマネージャーがマネジメント業務に専念できる環境を作ることが大切ですが、現実的には難しい場合もあります。

ポイントになるのは管理サイドの負担をいかに減らせるかということです。例えば1対1でのミーティングをスムーズに進めるためのコーチング研修や、複数の社員による評価システムである360度評価の導入を検討するのがよいでしょう。また、ノーレイティングを制度化せずに、まずは上司と部下の関係を密にするために現場のコミュニケーションの活性化を支援するという方法もあります。

ノーレイティングの実現には管理サイドの負担を減らすこと

ノーレイティングは従来の「評価-給与連動型」が抱える問題点を解決する一方で、管理サイドの負担増という大きなデメリットも抱えています。従来の評価方法に限界が見えつつある今、どうすれば今の制度を維持できるかではなく、どうすれば次の制度に移行できるかを問われているときだと言えます。

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