2019.7.10
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人材マネジメント

「グローバル・モビリティ」マネージメント・チームを強化する3つの課題

(写真=Funtap/Shutterstock.com)
(写真=Funtap/Shutterstock.com)
社会、そしてビジネスの国際化が加速する中、「グローバル・モビリティ(国際間人事異動)」を強化する企業が増えています。

しかし、デロイトが世界124ヵ国1万人を超える企業やHRリーダーを対象に実施した調 査では、68%の組織が「モバイル環境における労働力が、ビジネスや人材確保の重要な戦略である」と認識しているにも関わらず、「国際レベルで対応できる」と回答したのはわずか6%でした。

グローバル・モビリティの成功のカギを握る、モビリティ・マネージメント・チームが克服すべき課題と戦略について考察してみましょう。

国境を越えた人事配置戦略「グローバル・モビリティ」

国際的なビジネスを展開する企業にとって、優秀なローカル人材やグローバルな視点から組織の成長に貢献できる人材の確保・育成は、激化する市場競走を勝ちぬく上で、重要なカギをにぎっています。

グローバル・モビリティとは、国籍や文化という枠組みにとらわれず、世界という舞台で活躍できる人材を、最も効果的なロケーションに配置することで、ビジネスの円滑化や生産性の向上、さらなる成長の可能性を拡大するための戦略です。また、組織のアジャイル化を実現する大きな要因でもあります。

モビリティ・マネージメント・チームの必要性

グローバル・モビリティから最大限の恩恵を得る上で、戦略的かつ効果的マネージメントは必要不可欠です。

例えば、単に「現地の言語に精通しているから」「海外赴任経験があるから」という理由だけで人材を移動させるアプローチには、後に「現地の従業員を思うようにリードできない」「コミュニケーションが上手くとれない」といった問題を引き起こすリスクが潜んでいます。

モビリティ・マネージメント・チームは、国際的な人事移動で生じやすい潜在的なギャップや摩擦を最小限に抑え、人材確保から育成、管理までの総合的なプロセスを円滑化する重要な役割を果たします。

モビリティ・マネージメントの課題と戦略

モビリティ・マネージメント・チームの能力を引きだすためには、グローバル・モビリティの効率化を図る上で取り組むべき短期的・長期的課題を特定し、ポジティブな対応策を講じる必要があります。

1 グローバル・モビリティ・エコシステムの構築

さまざまな領域でテクノロジーを利用して効率化を図る企業が増えていますが、「モビリティ・マネージメントに関しては未だアナログ」という企業も少なくありません。

「異動にかかる費用をマニュアルで算出・予測する」「各部門が単独でプロセスを進め、情報が共有できていない」「移転面では運送業者や現地の不動産屋に依存する」など、既存の非効率的なシステムが、グローバル・モビリティのプロセスをより複雑にしているわけです。

例えば、コスト算出ソフトやデータ共有など、テクノロジーの恩恵を最大限に活用すると同時に、グローバル・モビリティ・プロセスに携わるすべてのチームがアラインできるエコシステムを構築することで、著しい効率化が図れます。

2 多様化に対応可能な環境作り

国際化の加速にともない、グローバル・モビリティの範囲も拡大しています。急速に進む多様化に対応可能な環境作りは、グローバル・モビリティ・チームの長期的課題です。

さまざまな国籍の従業員一人ひとりの働き方に合わせたサポートを提供すると同時に、マネージメントや各種プロセスの複雑化にも対応する柔軟性が求められます。定期的にスキルや知識向上のためのトレーニングを開催するなど、チーム全体の能力を高められる機会が必要でしょう。

複数の国・地域でビジネスを展開している企業は、各ロケーションのビジネス環境や慣習を考慮し、最適な人材を選出する必要があります。「自社の国際的な成長に必要なグローバル人材の基準」や「グローバル・モビリティのポリシー・フレームワーク」をチーム内で明確化することで、人事配置や採用、育成プロセスが容易になります。

3 従業員エクスペリエンスの向上

「従業員エクスペリエンス」は、従業員のモチベーションや忠誠心、生産性の向上など、企業の持続的な成長に大きな影響をあたえる要素です。

デロイトの調査からも、80%以上がグローバル・モビリティ・タレントを確保・維持するための戦略的優先事項として、「従業員エクスペリエンスの向上」 を挙げました。

従業員がエクスペリエンスとして求めている3つの要素は、「ウェルビーイング(精神的・肉体的・社会的な満足感)」「開発」「認識」です。

報酬パッケージや福利厚生を見直すなど、国際間を異動する従業員が公私ともに充実感を味わえる環境や条件を提供するとともに、さらなるグローバルなキャリアップの機会を提案することも、グローバル・モビリティ・チームの課題のひとつでしょう。
 

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